人事部長のひとりごと

あるご夫婦のお話です。
旦那さんはあと数年で定年退職を迎えるという齢。典型的な亭主関白の旦那さんです。
ある日曜日、いつものように奥さんに大好物のみかんがあったことを思い出し、奥さんに
みかんを持ってきてもらいました。
いつものように２人でみかんを食べていると、旦那さんは食べていたみかんを見て、
自分のみかんばかりが妙にキレイで、奥さんのみかんが傷だらけなことに気付きます。

「…」

数日後、夕食に魚の煮付けが並んでいました。よくみると自分のそれはお頭付きで大きく、
奥さんのそれは尾っぽの方でわずかな量のものでした。

「…」

旦那さんは今まで以上に奥さんのふるまいを気にするようになります。
そしてある日、自分のパンツと下着が新調されていました。
「」
内緒で奥さんの下着を見てみると、何枚もの下着がいくつも破れやほつれを縫ってあるそれはそれは
とてもみすぼらしいものでした。
自分のものは買わず、旦那さんのものだけ新調し続けていたんですね。

旦那さんは初めて気付いたのです。
奥さんがこうして何十年も自分を支え続けてくれたことを。
愚痴ひとつ言わず、ただひたすらに…。
そんな奥さんに今まで気付かなかった自分へのふがいなさと、
奥さんへの感謝の気持ちで旦那さんは涙が止まらなかったそうです。

それからこの旦那さんは「今日この日が妻と過ごせる最後の日だ」と毎日思いながら
日々の生活を送っているそうです。


身近な人の何気ない振る舞いや行動を気にしてみては
この旦那さんのようにふと気付くことがあるかもしれませんヨ。